あの人の上海の歩き方から、上海生活のリアルを映し出す“聞く”シリーズ。あなたが新たな一歩を踏み出す為のヒントが隠されているはず!
今回は、上海で活動するボランティア団体の一員として、医療専門職の目線でサポートされてきたRinaさんにお話を伺いました。
上海でも大学院生
ー 大阪、ネパール、神奈川、上海、次は… “続ける”という選択。ー
産休前は、大阪での大学院生と東京での大学非常勤助教の二足のわらじでした。2拠点だったのは、夫の転勤で。関西転勤にあわせて仕事を辞めて大阪の大学院に通い始めたんですが、博士後期課程1年目で神奈川に転勤になって。まだ授業があったので、大阪にシェアハウスを借りて、大阪と神奈川の行き来を1年ぐらいしていました。
大学院は看護系の専攻で、ネパールの保健分野、リプロダクティブヘルス分野、月経教育関連の研究を。入学前に参加した東日本大震災のボランティアで、ネパール支援をしている医師の方と知り合って。ネパールに連れて行っていただいたことからどっぷりハマり、私の研究テーマになりました。JICAのプロジェクトメンバーにも入り、ネパールへの短期JICA専門家派遣があったんですけど、なんと派遣前日に妊娠が発覚!ネパールでつわりが始まり、出産直前には夫が上海赴任になって、今という感じです。(す、すごい…)
大学院生は長期履修生という形態で、2人の出産育児、転勤があっても続けてきました。授業を受け終わり卒業に必要な単位を取得した後は、論文を提出するなど、先生方の協力のもとフルリモート可能な環境が整って、上海でも続けられたんです。
ロックダウン中は、昼間は団体購入と子供の世話、夜は寝ないで論文、しかも第二子妊娠中。病院にはなかなか行けないし、論文発表会の前日まで自宅が封鎖されていたり、カオスでした(笑)。そんな中でも無事に出産できたことは本当に感謝でしかないですね。
大学院は3月に卒業です。ちょうど本帰国になったので、日本での生活セットアップをしながら、大学で働きつつ研究を続ける予定です。今度は関東某所です!
すくすくのボランティア参加
ー 学会での活動報告。「他の国でも立ち上げのきっかけになったら」 ー
上海でのボランティア活動の一歩目は、友人が立ち上げた一時帰国グループチャット(以下、グルチャ)の情報転送のお手伝い。そのコミュニティや情報に助けられたので、何か恩返しをしたい気持ちと、専門医療職として何かできることはないかなという想いで、「TASUKEー助けー」や「すくすく」のスタッフ募集に応募しました。
多くのプレママ・ママの皆さんにご参加いただいている「すくすく」って、育児・生活相談グルチャの「すくすく広場」以外にも、妊活情報を交換する「こうのとり⭐︎S」や「上海プレママグルチャ」「働く&働きたいママの会」「幼稚園・託児情報シェアグルチャ」など…妊娠前から育児期までを網羅的にサポートできる派生グループがあるんです。
私は、絵本読み聞かせ会、プレママお茶会、公園わんわんのスタッフ、幼稚園・託児情報シェアグルチャの運営、両親クラスやマタニティクラスの講師など色々と担当させてもらいました。
「上海SUKU⭐︎SUKU」紹介
※派生グルチャへの参加を希望する場合は、すくすく広場でお知らせください。
あとは、ロックダウンを機に上海への支援の輪がもっと広がるようにと、すくすくスタッフと学会発表をしようとなり。“日本国際保健医療学会”という学会で、すくすくの紹介やロックダウン中の活動報告もしました。他の国でも、上海での活動を参考に交流し合いながら、世界各国で暮らす日本人の不安が軽減されたらいいなと思ってます。
上海SUKU⭐︎SUKUが発表した学会の抄録集
日中の出産・育児の違い
ー 上海には、違うもの足りないものを補ってくれる人たちがいる。 ー
私が担当している両親クラスの話をすると、前提、日本と中国の出産は結構違います。日本では入院中におっぱいのあげ方とか沐浴の入れ方を教えてくれるじゃないですか。上海では説明が少ない。中国語と英語であったりもしますが、実技がなくてすべて講義。
というのも、中国には産後ケア文化があって、月嫂(ユエサオ。赤ちゃんを産んだばかりの産婦と乳児のお世話に特化したお手伝いさん)を雇う人も多いんです。雇えば教えてもらえるけど、雇わなかったら分からないまま。出産から2、3日後には退院ですし、特に初産婦さんは不安だと思います。なので、両親クラスでは、日本と中国の保健指導や文化の違いを補いながら説明しています。異国の地で親も離れたところでの出産ですから。両親クラスは気軽に相談できる場であれたらと思っています。
私は渡航前は上海の阿姨(アイ。お手伝いさん)や月嫂のような文化も、医療や子育てのサポート体制も知らなかったので、第一子の予防接種が落ち着くまで日本でワンオペ育児をしていたのですが、もっと早くに家族が合流するのもありだったかな、と今は思います。
上海では、阿姨さんや月嫂さんをフル活用しました!日本人家庭に慣れた月嫂さんについて聞きたい、雇いたい方はご相談にものれます。プレママさんやママさんは、すくすく広場にご参加いただき、質問してくださいね。お待ちしてます!
阿姨・月嫂紹介会社
「Ayi Matchmakers」
※ 阿姨紹介は、すくすく広場などのコミュニティでも行われています。
また、すくすく広場でも質問が多い予防接種は、日本と上海の予防接種スケジュールを全部把握されている嘉会国際病院の矢野先生が、定期的にセミナーを開催してくださっていて。個別に受診相談もできるし、乳幼児健診も受けられる。
上海には、日本と違うことや足りないこともたくさんありますが、色んな側面からそれらを補ってくれる人たちがいると思っています。
矢野先生が講師を務める予防接種セミナー
私の上海の歩き方
上海生活を振り返って。Rinaさんの上海を歩く心得を聞いてみました。
「モノも気持ちも循環させたい」
本帰国が決まってからは、家の荷物はどんどん周りにあげちゃいました。出産関係のものは、出産が近い友人やマタニティクラスで知り合った方に渡していって。服や使いかけの調味料は、阿姨さんに。家電は、まだ上海生活が長そうな友人に。おもちゃは、お世話になった幼稚園に。私が昔、友人から譲ってもらったものも全部。
こうやって上海で循環していけたらいいなと思って。日本にいれば買えるものも、こっちだとなかなか手に入らないものが多いので。恩返しというわけじゃないけど、フリマとかも利益を得ようとかじゃなく、海外だからこその助け合いの場なのかなと思っています。
「やりたいことをやる」
思い立ったが吉日。上海の皆さんには、やりたいことをチャレンジしてほしいです。上海ってそれが叶う場所というか、協力してくれる人も能力を持ってる人もたくさんいます。
でも、移り変わりが激しい街なので、早いもん勝ちみたいなところもあって。悩んでいる間になくなってしまうから、まずは声をあげるというか、一歩踏み出してみることが大事だと思っています。上海の皆さん、まずは踏み出してみましょう!
Rinaさんの「絶対役に立つ!」の言葉に背中を押され、この上海あるQuを立ち上げた私たち。新しいことってワクワクと同じぐらいドキドキするもの。今回は、あるQuというチャレンジに併走してくれた彼女の本帰国の知らせを聞き、上海での軌跡を伺うことに。場所にも時間にも活躍の幅を制限されないRinaさん。彼女の軌跡が、ここ上海でチャレンジの循環を生みますように。
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